つれづれ夜咄(旧韓ドラ・懐かし映画・時々ビョンホン)

韓ドラ・懐かし映画・時々ビョンホンのリニューアルブログです。内容少し変更

偽りの世界の中で真の愛をはぐくんだミカドと更衣(源氏物語)

源氏物語つれづれ
ちょっとしつこいようですが、前回、天皇=ミカドの元に参上する時に廊下に「汚物をまき散らされる」と書きましたが、派手にパアーとまき散らすのではなく、どちらかと言うと真ん中ではなく、隅の方にちょっとわからないように落としておくのですね。廊下の真ん中は女主人である桐壺の更衣が歩く。お付きの女房は端の方を歩く。そしてどうも変な臭いがすると思ったら、着物の裾が汚れていて「キャー!」ということになる。
韓国ドラマでも宮廷で女官や宦官はうつむいてはじをそそくさと歩いていますが、あれと同じです。

実家を背負って宮廷入りする女性達
ところで大勢いる側室達のなかで、身分のそれほど高くない、実家の父親もすでに亡くなってしまっていて、有力な後ろ盾のない更衣がなぜミカドの目に留まりその愛を一身に受けることになったのでしょう。
それはミカド自身が孤独な存在だったからでしょう。
宮廷に上がる女性たちはそれぞれの実家の父や兄の意向を受けているのです。首尾よくミカドに気に入られ、皇子を生めば、その子は次の天皇です。父や兄は天皇の親戚として政治に力を振るえる。それをみんな願って娘を差し出すのです。娘たちもそれがよくわかっていますから何とかミカドの目に留まろうとする。
ミカドのほうも有力貴族には気を使います。ミカド自身の財産もあるでしょうが、やはり豊かな資金を提供してくれる妻の実家は大事です。
ですから源氏の父になる桐壺帝は身分の高い弘徽殿の女御にはそれなりに気を使い、皇子もすでにいます。ほんとだったら側室の一人ではなく、皇后にしてもいいくらいなのにそうはしていません。その気になれない。物語の中でこの弘徽殿の女御はしばしば政治的動きをします。「実家第一」の人ですね。
だからミカドは求めていたのです。実家の繁栄を第一に考えるような女性ではない人を。それが桐壺の更衣だった。

真の愛で結ばれたミカドと更衣
更衣とはミカドのそばで着替えを手伝う女房のような存在で、そばにいるのだからミカドの愛を受ける機会もあるという程度の身分。
韓国ドラマでもチャングムのような料理人として働く女官も「王の女」とされていました。チャングムのお友達が王に見初められ、たしか側室になってましたよね。
すでに父もなく、実家の野望を背負っていない更衣とそんな野心を持った者達の間で気を使わなければならないミカドが心通じ合う仲になったのは自然な流れ。
年令は特に書いてありませんが、若い二人だったのでしょう。理性はもう働きません。毎夜のようにお呼びがあります。宮廷秩序を乱した二人。
でもミカドに抗議するわけにはいきませんから、憎しみを一身に受けるのは更衣のほうです。
そんなこんなで、皇子である源氏は幼くして母を失う運命になる。