つれづれ夜咄(旧韓ドラ・懐かし映画・時々ビョンホン)

韓ドラ・懐かし映画・時々ビョンホンのリニューアルブログです。内容少し変更

男の人形として生きる運命の女性(源氏物語・若菜の巻」

やっと暑さは峠を越し、今日は台風の影響により雨が降っています。
思いを遂げた柏木
源氏の正妻女三宮の母は有力な後ろ盾を持たず、すでにこの世にいない。皇子や皇女と言えども母の実家がしっかりしていなければ、天皇が代替わりするたびに中心から離れ窮乏していくのです。それを心配した朱雀院は頼りない女三宮が生活に困ることのないようにと源氏に託したのでした。
これに打撃を受けたのが紫上でした。紫は源氏にとって最も大切な妻の一人ですが正妻ではありません。女三宮が正妻に納まったことにより、源氏の愛も失ったかと紫は嘆き、病の床に就きます。この時代、身分の高い女性は不健康な不自然な生活を送っているために若くして病にかかり、あるいは出産により命を落していく。
紫に付きっきりになり不在の源氏。そのすきに柏木は女三宮と通じ三ノ宮は妊娠。後の宇治の主人公薫です。
源氏は三ノ宮の懐妊に不審を覚えますが、かつての若き日の自分、父の妻藤壺宮と通じ、冷泉帝を誕生させた、に重ね合わせ、この運命を受け入れることになるのですが、それはもう少し後の話。
女三宮は柏木に忍び込まれても声をあげることもできずなすがまま。まるで手応えがないのですが、これまた夢のようで、柏木はその後も三ノ宮の元へ。そしてついに宮は妊娠。
柏木の一方的な求愛なのですが、内親王として人形のように育てられてきたためにただなすがまま。これこそが男達が望んできた女の姿。自分の思い通りになる女。そのくせしばらくするとこういう意志のない女性には飽きが来て浮気に走る。
意志も学問もある式部はこうした高貴な女性の在り方を悲劇として「若菜の巻」で描いているのです。