つれづれ夜咄(旧韓ドラ・懐かし映画・時々ビョンホン)

韓ドラ・懐かし映画・時々ビョンホンのリニューアルブログです。内容少し変更

源氏、都を去る

貴種流離譚・源氏の試練(須磨・明石の巻)
源氏の父桐壺帝が亡くなりました。ここから宮廷での権力関係が変わっていきます。
最大の後ろ盾である父帝を亡くした源氏の元から人々は潮が引くように去っていきます。
こんな時こそ自重しておとなしくしていなければならないのですが、そうは出来ないのが人間。
未亡人になった藤壺宮を恋いながら、政敵側の姫君朧月夜との逢瀬に溺れる源氏。
遂に政敵側の総帥、右大臣に朧月夜との密会を知られてしまいます。
一方、夫である桐壺帝の死で里に下がった藤壺宮は悩んだ末、出家をしてしまう。表向きは桐壺帝との子供、実は義理の息子源氏との子である皇子の行く末を考えると、源氏に頼るしかない藤壺。出家をして形式的にでも尼になってしまえば、尼になった女性に近づくことはできないのが当時の習い。今でもそうですけど・・・。
こうして愛欲より我が子の将来を選んだ母藤壺
「どうにでもなれ」とやけになった源氏。
全ての官位を返上して今の兵庫県である須磨に自ら引っ込んで謹慎の身に追い込まれます。
歴史上は都を去った貴族でその後中央政界に返り咲いた例はないといいますが、紫式部はそれを物語上で果たします。この須磨・明石の地で元は都の貴族ながら、この地で国司(現代で言えば県知事に相当」になり財産を作った明石の入道の娘明石の君と出会い、娘を設ける展開になる。
失意のまま都から流れて来た貴族(貴種)の男性が土地の有力者の娘と結ばれ、その地で力をつけていくというのは後の武家政権の統領につながっていく。代表的なのが「清和源氏」と「桓武平氏」。
天皇は側室をたくさん持ち、従って多くの子供が生まれます。しかし次の天皇になるのはたった一人。多くの皇子、特に母の身分が低い場合、都での栄達は望めませんから、地方に下っていく。それが武士の統領に持ち上げられ、次の政治権力者になっていく。
明石の入道は器量の良い娘を何とか源氏に結び付けて都への復権を計ろうと奔走し、それが実現しますが、それはもう少し後の話。