つれづれ夜咄(旧韓ドラ・懐かし映画・時々ビョンホン)

韓ドラ・懐かし映画・時々ビョンホンのリニューアルブログです。内容少し変更

最初から下世話な話で始まっている『源氏物語』

源氏物語つれづれ
カルチャーセンターで、10年ほど「源氏物語講座」を受講していました。第一巻「桐壺の巻」から最後の「夢の浮橋」までテキストを先生が読み解説していくというもの。受講生はそれをひたすら聞き時にメモを取るという形式です。
週一回、1時間半ぐらいでしたか。小学生だったらこんな形式我慢できないでしょうが、そこは大人(ほぼ全員女性)の物語好きの人達ですし、聞くも自由、去るも自由ですから。
というわけで、せっかく講義で知ったいろいろについてこれから少しづつ綴ってみたいと思います。
恋愛部分より、下世話な生活部分について思ったこと、知ったことなど・・・。
天皇の部屋からは遠い桐壺
高校の古典の授業では必ず?この長大な物語の冒頭の部分が引用されているはず。
いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらたまいける中に、いとやんごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまうありけり。
天皇には正式な妻=皇后のほかに側室が大勢いる。次の天皇になる子供を得るためですね。これは江戸時代の将軍や大名も同じ。
源氏の母になる「桐壺の更衣」もその一人ですが、順番というか、身分がそれほど高い側室ではありません。
近現代の社会と決定的に違うのは身分によって、住む部屋も着るものも区別されていて、それを守らなければ「習慣を守らぬ者」として非難され、罰を受けることになる。
桐壺という部屋は天皇の部屋からは遠いのですね。で、天皇からお呼びがあると、いくつもの渡り廊下を通ってお部屋に行かねばなりません。それがたまにじゃなくほぼ毎日、となれば他の側室は面白くありません。
そこで意地悪をする。通り道にわざと汚物=排泄物をまき散らす。このころの排泄はおまるにして、それを外に捨てに行くという方法ですから、こういうことが簡単に?できるわけですね。するのはそれぞれの側室にお仕えしている女房達です。女主人の心の内を推し量って邪魔をするのですが、宮廷にいる女房達って、きれいな着物を着て、上品な言葉遣いをしているのは表向きだけ。実はかなりあくどい。女同士でもまれている内にすれっからしになっていくのですね。
渡り廊下にはところどころ扉があって、示し合わせて開かないようにしめてしまい、行くも戻るもできず閉じ込められてしまうということもしばしば。
桐壺の更衣本人に直接こういうことをすると、それはそれでおとがめの対象になりますから、お供の女房が被害を受けて、着物の裾が汚れて耐えがたい状態になる。
そんな中で更衣は男の子を生む。「源氏の誕生」です。
最初から随分、下世話な話から始まっているのに、高校生の頃はそういうことにあまり気が付かなかった。